ゆったり気分で人気舞台へ

 平日をセルフコントロールで使える身となり、展覧会や映画・舞台など本当に出かけやすくなった。晩夏の水曜日中、NODA MAPへ。野田さんの舞台、何年ぶりだろう。思い出そうとすればするほど、20代の頃みたシーンや刺激的な感覚が浮かんでくる。昔のことのほうがクリアとは、歳を重ねた証拠かもしれない。

 演目は「Q:A Night At The Kabuki」。ロミオとジュリエット×源平合戦×クイーンの楽曲、こう書くだけですでにカオスな世界観だが、永久不変なストーリーが土台なので不可解さはなく、巧妙な展開と演出が生み出す世界に惹きこまれた。今をときめく売れっ子俳優がこの舞台出演を望んだのも(どこかの記事の受け売り)、納得だ。そして、松たか子さんの凄さはやっぱり凄かった。

 演者ふくめ関わる人がみな何かを「超える」エネルギーを重ねて作りあげているような舞台であった。

 秋半ば水曜午後、人気舞台へ、もうひとつ。4年ぶりに幕をあけた「平成中村座 大歌舞伎」。こちらは、なんやかんや毎回いちどは観劇していたから、4年ぶりに観にいったことになる。

 十月第二部の演目は、「綾の鼓」と「唐茄子屋~不思議国之若旦那」。歌舞伎ゆえ、こちらも話は古典もの、わかりやすい。ただ「唐茄子屋~不思議国之若旦那」は宮藤官九郎の書き下ろし、歌舞伎としては新作であり演出もクドカンである。落語の古典「唐茄子屋」をベースに不思議の国のアリスの要素を折りおんだ、とまたしてもカオスな予感な触れ込みであったが、「人情歌舞伎+クドカン」のひとつの答えだなぁという内容だった。しっかりカブいた、楽しいエンターテイメント。

 平成中村座は、江戸時代の芝居小屋を模している。だからこそ存在する座席があり、今回そこで観てみた。ほぼ真横(かなり前方で舞台に対し直角な座)から観劇したのだ。幕があくまで少々心配であったが始まって良き驚き、微細な部分までクリアに観られるではないか。正面にはない迫力もあった。平成中村座名物、舞台奥が開き外景を活かすところだけが少し見づらかったが、それも一興。この小屋ならでは、を楽しめた。

 もうひとつ発見!勘九郎さんの次男、長三郎くんのコメディアン才能である。あの間をものにしているとは、9歳にして、おそるべし。押しメンになるかもなぁ。


 コロナ禍の舞台エンターテイメント。人の底力というか、楽しむエネルギーというのは素晴らしく、それを大衆が「分かち合う」のがいいのである。

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