リチとミロ

 キャッチフレーズは「ウィーン生まれのカワイイです。」約370作品を展示、見ごたえたっぷりの「上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展」へ。


 「うわぁ~カワイイ!」観ていた人から確かに声がもれていた。

 日用品やファッションテキスタル、室内装飾、包装パッケージ、ステーショナリーなど分野は幅広く、布地、用紙、焼物などアウトプット素材もいろいろだ。理念やアートではなく、日々の暮らしに寄り添う「デザイン」。

 「お金持ちだから産みだせたのじゃないか」というようなことを観に行った後輩が言っていたが、お金持ちかどうかは別として、大変な時代をこえてデザインしつづけていたそこには、気持ちの「豊かさ」「充ちたり」が宿っていたように思う。ファンタジーが大切、上野リチ(フェリーツェ・リックス)は語ったとか。幻想的ということではなく、「自由」に近い気がする。

 さてもうひとつ、「ミロ展-日本を夢みて」へ。

 幼いころ、兄の所蔵本か叔母の家かで、その絵に出会った画家で、時を同じくして彼が来日した姿を(ニュース映像か何かで)見た記憶もある。無意識下に親近感があるかもしれない。

 今回の展示案内で確認できたが、大阪万博の前年に壁画を描くためミロは来日していた。子供にも覚えられる名前、カラフルなお絵かきな作画、ほほえむお爺ちゃん画家の風貌。ああキュート!あの時の感覚は今回の展示でも変わらず、懐かしさと新鮮さの両方をもたらしてくれた。確信したのは、色彩感覚が好き、ということ。赤や黄といったポップな原色で象徴されることが多いけれど、実際の作品はそんなことはなく、私が好きなのは、くすみと鮮やかさが共存する色あいだ。

 リチもミロも、日本と縁が深い。関わる内容の展示物が多かったからかもしれないが、勝手に心近しくほっとする感じを覚えた。作者が見ていた日本はどんなだったのかと想いを馳せ、勝手に気持ちを重ねる。


 世の中なにかとこじれている2022年春。個人的な課題にも向き合い、それを一山クリアにしたタイミングに、おだやかな時間をくれたリチとミロ。サンキュー、デザイン。サンキュー、アート。

saikosan

さいこさんの創作セカンドライフ

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