ばあさんアートに力をもらう

 「グランマ・モーゼス展~素敵な100年人生」に行ってきた。70代で画家になり100歳まで描き続けたモーゼスばあさん。キュートでほっこりする画に心ひかれたことは言うまでもなく、人生の晩年に創作しつづけたことへの憧憬が、展覧会に必然的に足を運ばせた。

 人生の大半を農家の主婦として過ごした彼女が描くモチーフは、身近なものばかり。日々暮らす土地の人、風景、日常生活である。窓から眺める農場、近くの橋をわたってやってくる親戚、家族やご近所さんと過ごす季節の恒例行事、風が強い日の森・・・明るく温かく、身のまわりのひとこまが慈しみにあふれ描かれていた。

 畑での野菜作りや俳句を楽しむ身としては、確実にめぐる季節や毎年違うその風景、微妙に移ろっていく日々、暮らしの側らにある真実、その尊さに心が動く。「毎日ほとんど変化がないけれど、季節だけは移ろう」「どんな仕事でも幸せを増やしてくれる」展覧会で紹介されていた彼女の言葉に、おこがましくも勝手にシンパシーを感じた。

 今年のはじめに出かけた「アナザーエナジー展」は、いまも活躍をつづける70代以上の女性アーチスト16名の作品展。こちらは長年にわたり挑戦しつづけるエナジーを主題にした編集で、芸術ばあさんたちの「どうしようもない」生存本能に包まれるものであった。アーチストのひとりアンナ・ベラ・ガイゲルの「挑戦とは生き残らねばならないということ」という言葉は印象的であった。(好きだったのはエテルアドナン♡)

 出会うタイミング、というものがある。歳を重ねたアーチストの作品は以前からよく観てきたが、今年たてつづけに「ばあさん」アート展があり、触れられたのは有難いことである。毎日ってずっとフロンティアなんだなぁ。

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